2020東京オリンピックでは開会式の最終聖火ランナーとして大きく世界に報道された大坂なおみ選手。日本とアメリカの二重国籍を持つ大坂なおみ選手は、大会ギリギリまで「どちらの国の代表として出場するのか?」という点が注目されていました。
ところが東京オリンピック前から「日本代表として戦いたい」という意思を表明していた大坂なおみ選手は宣言通り日本代表として大会に出場します。
元々日本国籍を持っていますので、本人の意思で選択して良い、というのが答えになります。
もはや世界のスーパースターとなった大坂なおみ選手ですが、「どうして日本人として五輪出場できたのか?」「なぜ日本人として登録できたのか?」といった声も多いようです。
そのため大坂なおみ選手の国籍についてさらに詳しく掘り下げるとともに、日本を選択した理由のひとつである「家族への想い」についても触れてまいります!
目次
大坂なおみはなぜ日本人として五輪出場できたのか?
大坂なおみ選手が東京オリンピックで日本代表として出場することが決まってから、以下のような声をよく目にするようになりました。
全く日本らしさを感じない最悪な開会式。そしてなぜ大坂なおみ?国籍が日本なだけで、ろくに日本語も話せないし。そもそも愛国心はアメリカに在るんだろうに。#Olympics #開会式
— 一人静 (@juugonomamori) July 23, 2021
なぜ最終聖火走者が大坂なおみではダメなのかというと、、、
・五輪での実績がない
・日本語がしゃべれないなど日本文化から縁遠い
・言動に癖があり、人格的に疑問がある
・うつ病からの回復状態が不明
(以下は想定)
・今後米国籍を選択する可能性がある— オールイン (@AKQJTallin) July 23, 2021
最終ランナー、大坂なおみ。
日本国籍だけど日本語も話せないのに、なぜ?
他にいなかったのかな。
ドローン以外、華やかさもなくツギハギの開会式。がっかり、時間だけ長くて。— キャメル (@LfAaiRnD4fMeXye) July 23, 2021
では、「なぜ大坂なおみ選手が日本代表として出場することができたのか?」という疑問を解消していきたいと思います。そのためには大坂なおみ選手のルーツに触れる必要があります。
大坂なおみ選手は、北海道出身の母・環(たまき)さんとハイチ出身の父・フランソワさんとの間に大阪で生まれました。3歳で米国に移住したため二重国籍で、日本語はほとんど話せません。SNSの発信などを見ていてもほとんど英語で発信をしており、日本語でなにかを発信することはほぼ無いようです。
つまり大坂なおみ選手ははじめから、「日本代表」あるいは「アメリカ代表」どちらか一方を選択する自由が与えられていたということになります。
そんな大坂なおみ選手は日本の法律である「22歳までに国籍を選択しなければ国籍を喪失する」というルールに基づき、2019年に日本国籍を選択したと大きく報道されました。
これにより正式に「日本代表」としてオリンピックに出場することが決まりました。
このようなルーツ、法律を知らない方からすると、日本非定住・ネイティブ英語・黒人女性である大坂なおみ選手が「日本代表」であるという事実に疑問を唱える声もあるかもしれませんが、そもそも「日本国籍を持っていた」というのが答えになります。
大坂なおみ選手はなぜ「日本」を選択したのか?
引用:https://news.yahoo.co.jp/
全章で、「日本代表」あるいは「アメリカ代表」どちらか一方を選択する自由が与えられていたことはお伝えしました。
しかし選択する自由を与えられていたということは、大坂なおみ選手が自分の意思で日本国籍(日本代表)を選んだということにもなります。3歳からアメリカで育ち、アメリカでテニスの英才教育を受け世界的プレイヤーとなった大坂なおみ選手。アメリカに本社を置く企業のスポンサーも数多くあります。
ここでひとつの疑問が生まれます。「アメリカ代表としてオリンピックに出場してもよかったのではないか?という点です。
むしろ、ほとんど喋れることのできない母国の日本語と、幼い頃から馴染みのある英語。そして実力主義のアメリカでは、今や大坂なおみ選手は完全なるスーパースター。大坂なおみ選手がアメリカを選択したとしてもなんら違和感のない経歴です。
そんな彼女がなぜ日本国籍を選択したのか、僅かながら疑問が残ります。
しかし大坂なおみ選手のSNSを見ていると、以前から日本人であること、日本の文化を強く意識し、そしてそれを誇りに思っているシーンが数多く見られます。
hi I’m new 🙂 pic.twitter.com/o3zPsdqaMc
— NaomiOsaka大坂なおみ (@naomiosaka) December 6, 2019
full circle pic.twitter.com/Etwj6x3G9X
— NaomiOsaka大坂なおみ (@naomiosaka) October 16, 2019
My husband lol. pic.twitter.com/t66znEMael
— NaomiOsaka大坂なおみ (@naomiosaka) June 16, 2019
3歳で渡米し今日までアメリカで育つ大坂なおみ選手にとって、馴染みがあるのは日本よりむしろアメリカなのではないか、とさえ思ってしまいますが、彼女は日本食を好み、日本の文化を好み、そしてなにより日本人らしいシャイで穏やかな性格を持ち合わせています。
「らしさ」を尊重しながらも自分の意思を貫き、何者にも迎合せず主義主張を放つ大坂なおみ選手のそれはアメリカらしさではなく、むしろZ・ミレニアル世代の代表としての特徴に近いと思われます。
お母さんの環さんとのコミュニケーションや育った家庭環境のなかで、彼女のなかで「日本とアメリカのハーフである」というアイデンティティを大切に育んできたであろうことが伝わってきますね。
家族への想いと日本への恩返し
引用:https://twitter.com/naomiosaka
さて、ここまでの章では大坂なおみ選手が
- 日本とアメリカの二重国籍であり、元々どちらかを選ぶ権利を持っていたこと
- そのなかで、育った環境のアメリカよりも、生まれ故郷である日本国籍を選択したこと
について解説をしてきました。
そしてもうひとつ重要な理由として、「日本代表」という想いは家族の願いだったと言われています。
スポーツ用品メーカーの『ヨネックス』がスポンサー契約を結んだのは、彼女がまだ10才だった2008年でした。母親の環さんがヨネックスの当時の社長にサポートをお願いする直筆の手紙を書いた。それに心を打たれた社長はアメリカの子会社に視察を命じ、彼女のプレーを見た担当者が将来性を見込んで、用具の提供が決まったそうです。
引用:https://news.livedoor.com/
上を要約すると、大坂なおみ選手がまだ無名の頃から日本企業は大坂なおみ選手に支援を施していたということになります。
大坂なおみ選手がテニスプレーヤーとして頭角を現したのは2016年全豪オープンの本戦で3回戦に進出した頃から。つまり大坂なおみが19歳のときです。
この頃からアメリカでも大坂なおみ選手の才能が目立ちはじめ、スポーツビジネスの盛んなアメリカでは一斉に大坂なおみ選手を「アメリカ代表のプレイヤーに」という動きを見せ始めました。
一方で、大坂なおみ選手がまだ活躍をしていない10歳の頃から支持してきた日本のYONEXや、当時の女子テニスの代表コーチ吉川真司氏との長く地道な信頼関係によって、大坂なおみ選手の「オリンピックは日本代表で」という意志は揺らぐことはありませんでした。
スポーツビジネスにおける経済力では日本はアメリカに比べれば乏しいはず。しかし大坂なおみ選手が無名の頃からサポートを続けてきた恩を、大坂なおみ選手と大坂なおみ選手の家族は今でも忘れずに「恩返し」という気持ちで日本国籍を選択してくれています。
世界のトッププレイヤーとなり世界中で注目されている彼女が、かつての恩を忘れることなく国境を超えて活躍してくれていること自体、日本人として誇らしい限りです。そしてなによりカッコいい。これからも活躍し続けてほしいと思います。
なぜ日本人には大坂なおみ選手アンチが多いのか?
すこし余談にはなりますが、日本では大坂なおみ選手に対して「日本人ではないのでは?」「“日本代表”に違和感」という声がかなりたくさん上がっています。
なぜ大坂なおみさんなんですかね。もちろん日本人(=日本国籍を持つ人)なんですけど、日本にずっと住んでないし日本語も話せないですからねー
— dans le 15ème (@dansle15eme) July 23, 2021
大坂選手の試合は…どうでもいいです。なぜ!?聖火ランナー最後に抜擢されたか?日本語覚える気が無いなら、アメリカ代表でもいいと思います。#大坂なおみ
速報 女子シングルス大坂の初戦 2021年7月25日 https://t.co/MgLgD0OQKP
— 愛娘、さくら♥♥♥ (@sakura_kawaii12) July 25, 2021
なぜ大坂なおみ
日本に住んでないし日本好きかい?このお方
— まる♡ (@coroke123) July 23, 2021
色々と声を見ていると、
- 日本をしゃべらない
- 日本に住んでいない
- 振る舞いが日本人っぽくない
多くがこの3点に集約される意見のようです。
日本人というのは「日本語を話す」ということがいかにアイデンティティなのかが伝わってきます。
アメリカであれば母国語が英語なので、あまりこういったことで賛否が起こることはない(英語はもはや公用語なので)ですし、どちらかといえば海外の人はルーツを大事にする傾向があります。つまり、「どこに住んでいるか」ではなくあくまで「どこで生まれたか」を大事にする、ということです。
そういった点でいかに日本がガラパゴス化しているか、鎖国状態であるか、身に染みて理解できてしまいます。
これだけ世界中で活躍している人が日本代表を選択してくれているだけで感謝できるようにならなければ、海外に向けて活躍できる人などいなくなってしまいます。サイレントマジョリティーかもしれませんが、オリンピック開幕後の日本のSNSでの反応は本当に残念です。
まとめ
大坂なおみ選手はなぜ日本代表としてオリンピックに出演しているのか?という記事をまとめます。
- 日本とアメリカの二重国籍であり、元々どちらかを選ぶ権利を持っていたこと
- そのなかで、育った環境のアメリカよりも、生まれ故郷である日本国籍を選択したこと
- 日本は大坂なおみ選手が無名の頃からVIP待遇をし、サポートし続けてきた
- そのことを家族が感謝しており、いまだに日本へ恩返ししたいと思ってくれている
以上が、大坂なおみ選手が日本国籍を選択し、日本代表としてオリンピックに出場している主な理由となります。
錦織圭選手が海外で活躍し始めたときも非常に誇らしかったですが、いまや大坂なおみ選手に比べればどの選手も比にならないくらいの知名度となりました。日本人としてこれからも彼女を応援し続けたいと思います!